
医療AIの知識が
ワンストップで
わかる総合書籍
2021/5/26翔泳社より発売。医師AI起業家・ITコンサル・AI研究者の共著。韓国で上場した話題の医療AIスタートアップVUNOのCEO/CTO特別インタビュー付き。
社会実装が進む最新テクノロジーが一冊に
概要
AI活用がもたらす医療技術の変革!AI技術は病理学や医用工学、解剖学、神経科学、細胞生物学、
脳神経外科や内科学、眼科学、放射線医学、手術医学など、
基礎医学から臨床医学まで幅広い領域に浸透し始めています。しかし、データの量や用途に応じて技術のラインナップの中から
適切な武器を選ぶ必要があるため、正しく活用するのは一苦労です。さらにAIを医療機器としてリリースするためには、
資金調達、人材戦略、知財戦略などに抜かりがあってはいけません。本書では、最新の事例、技術、法律と行政の取組みについて解説しており、
国内において医療AIをより活用できる1冊となっています。【本書の概要】
・AIと医療に関わる昨今の社会状況やAIの医療応用に関する法律を解説
・AIが医療にどのように貢献しているかを、実際に事業化されている事例を中心に紹介
・医療関連の画像を扱う技術や、電子カルテなど医療関連の自然言語や数値などの系列データを扱う技術など、開発に必要な技術を紹介
・医療AIの開発に使われる有名な公開データと提供元をリストアップし、データを扱う心構え、
標準的な開発の流れまで踏み込む
・医師かつ起業家の視点から、課題設定、データ収集、プロダクト開発、機器販売、知財や特許、
チームや人材、資金調達やサポート機関など、医療AIの事業化において役立つ情報が満載
・韓国の医療AIベンチャーであるVUNO社とのインタビューと、日本が学ぶべき事柄を考察【本書の読者層】
・医療AIの開発に携わるエンジニア
・基礎知識として医療AIの基本事項を押さえておきたいエンジニア
・医療AIハード・ソフトウエアメーカやベンダーの企画、営業担当
・医師著者座談会 & 裏話 YouTube
目次
第1章 医療AI概論
医療AIの昨今の状況を振り返る
医療に貢献するAIのアルゴリズム
医療AIを後押しする医療やヘルスケア業界の動き
医療データ収集のための医療情報の標準化
プログラム医療機器の開発および販売
世界と日本の医療を取り巻く市場環境第2章 医療AIの事例
画像データへのAIの適用
電子カルテなどのテキストデータへのAIの適用
IoTやウェアラブルデバイスを用いた病気の予防や治療
病院や診療所以外の地域包括ケアを支える医療機関へのAIの適用
医療情報連携やデータ利活用を見据えた医療情報収集の取り組み
広がる医療AIの取り組み第3章 医療AIの技術(1)画像処理編
医療画像処理でできること
デジタル医療画像の特殊性
前処理と特徴量抽出
機械学習を用いた画像分類の方法
画質を良くするための画像再構成
さまざまな形状の物体検出
最適化や数理モデリングを用いて行う物体追跡
似た画像を探すための類似画像検索
医療画像処理のフリーソフトウェア第4章 医療AIの技術(2)系列データ編
医療自然言語処理でできること
自然言語処理の前処理
機械学習を用いた医療文章分類の方法
医療における対話の自動化
系列数値データのさまざまな回帰の方法
医療データの解析をやってみる第5章 医療AIデータの扱い方
良質なデータが成長の鍵となる時代
新型コロナウイルス関連の公開データ
医療AIの開発に役立つ公開データの提供元
医療データを扱う心構え
CRISP-DMを構成する6フェーズ第6章 医療AIの現場への応用
適切な医療課題を見付ける難しさ
良質な医療データの収集は難しいが、収集できればそれが強みになる
医療AIのプロダクト開発における注意点
医療機器の販売
知財・特許
チーム・人材
資金調達・サポート機関第7章 医療AIベンチャーVUNO社インタビュー
はじめに
○ AI技術を生命科学の現場で用いる
人工知能(AI)は古くはパズル解きからある種の専門家判断の代用まで、近年 では画像認識から自動翻訳までさまざまな分野で活用されています。第 2 次世界大戦中に数学者が開発した暗号解読機はコンピュータ科学を進展さ せました。その後、しばらくして「AI」という言葉が定義され、パズルを解く AI などの研究が盛んになりました。時を同じくして、物理学を駆使した工学が 花開き、カメラをはじめさまざまな工学製品が次々と普及しました。その結果、 カメラで撮影した画像が大量に集められるなど、21 世紀にはビッグデータ時代が 到来しました。2015 年には、120 万枚にも及ぶ犬や猫の画像を学習した AI が人間 よりも高精度に画像を分類したことで、「AI は画像認識で人間の目を超えた」と いわれるまでになりました。
このように、AI は数学、物理学、工学と複雑に干渉しながら、壮大な流れを作 ごうごう
ってきました。私たちは、この壮大な流れが囂々と音を立てながら生命科学の流 れと合流している時代を生きています。生命科学は 18 世紀の人体解剖図、19 世紀 の病原体、20 世紀のゲノムなど古くから脈々と発展してきましたが、生命科学の ビッグデータと AI 技術を用いることで、新たな可能性が開かれ始めています。 今後、大きく発展する可能性に期待が高まります。
では、AI 技術によって生命科学のどの領域がどのように発展し得るのでしょう か。どのような AI 技術が武器となるのでしょうか。AI 技術を使うには何が必要 でしょうか。AI 技術を生命科学の現場で用いるために解決すべき課題は何でしょ うか。
AI 技術は病理学や医用工学、解剖学、神経科学、細胞生物学、脳神経外科や 内科学、眼科学、放射線医学、手術医学など、基礎医学から臨床医学にいたるま で幅広い領域に浸透し始めています。また、画像分類なら畳み込みニューラルネ ットワークなどがよく用いられますが、データの量や用途に応じて技術のライン ナップの中から適切な武器を選ぶ必要があります。さらに AI を医療機器として リリースするためには、資金調達、人材戦略、知財戦略などに抜かりがあっては いけません。
○ 本書の構成
本書の構成は、次のようになっています。
第 1 章では、AI と医療に関わる昨今の社会状況や AI の医療への応用に関する法 律をまとめます。医療は個人のゲノム単位で最適化するものというプレシジョ ン・メディシン(精密医療)の考え方が社会的に浸透してきました。2018 年には、 医療 AI を後押しする次世代医療基盤法が制定されています。本章を読むことで、 医療と AI の全容をつかめます。
第 2 章では、AI が医療にどのように貢献しているかを、実際に事業化されてい る事例を中心に紹介します。医療の現場で活躍している画像を扱う AI、自然言 語や数値などの系列データを扱う AI について、さまざまな事例を把握できます。 また導入の背景にも触れているので、新たな医療 AI の製品を企画する際の助け にもなります。
第 3 章と第 4 章では、数式は最小限にとどめながら医療 AI の開発に必要な技術 を紹介します。そのうち、第 3 章ではX線などの医療関連の画像を扱う技術を、 第 4 章では電子カルテなどの医療関連の自然言語や数値などの系列データを扱う 技術をまとめています。これらの章では、医療 AI のプロダクト開発に必要な技 術を押さえることができます。
第 5 章は、データの章です。出どころがはっきりしたデータは AI 技術の開発 に非常に有用です。医療 AI の開発に使われる有名な公開データと提供元をリス トアップし、データの作り方、標準的な医療 AI における開発の流れまで踏み込 みます。第 3 章から第 5 章を通して、自分たちのデータを使って AI を開発する流 れをつかめるようになります。
第 6 章では、医師かつ起業家の視点から、医療 AI ならではの 7 つの課題につい て紹介します。課題設定、データ収集、プロダクト開発、機器販売、知財や特 許、チームや人材、資金調達やサポート機関について網羅しており、医療 AI の 事業化において役立つ情報満載です。
第 7 章では、韓国の医療 AI ベンチャーである VUNO 社とのインタビューと、 そこから日本が学べる事柄を考察しています。韓国において医療 AI は非常に盛 り上がりを見せています。中でも成長著しい VUNO 社は、本書執筆中の 2021 年 2 月に新規株式公開を行うことが明らかになり、世界の医療 AI 企業の試金石に なるような勢いがあります。そういった中で行われた VUNO 社とのインタビューは、日本における医療 AI の普及に向けて多くの示唆をもたらすでしょう。また読者特典として、医療 AI の有用なサイトをまとめています。必要に応じ て参照することで、効果的に最新情報をキャッチアップすることができます。 本書を読むことで、医療を中心とする生命科学に使われる AI 技術から適用事 例、今後の課題を網羅的に把握できます。
本書は、素晴らしいメンバーとの共著によって実現しました。世界各地を飛び 回った元大手商社マンで、現在は日本最大級のAIコミュニティであるTeam AI を運営している、起業家の石井大輔氏。石井氏のネットワークがなければ本書は 完成しませんでした。
そして、AI の医療応用に関する新規事業企画や開発経験を 経て、現在は先端技術のコンサルタントである清水祐一郎氏。多数のプロジェク トに参画した清水氏の経験をもとに、豊富な医療 AI の事例が紹介されています。
また、医師であり起業家でもある河野健一先生。AI を用いた医療用プログラムの 開発を行っており、医師と AI エンジニアの 2 つの立場から医療 AI を実現化する ためのリアルな課題が論じられています。
私の担当箇所の執筆が進まない中、共著者の方々からは執筆作法など多くのご 指導をいただきました。また、編集担当の長谷川和俊氏は読者目線のコメントを 多数くださいました。株式会社ニコン数理技術研究所の同僚各氏は技術者の観点 からご教示くださいました。さらに、韓国語と日本語が堪能な陳宣熹(ジンソンヒー)氏は、VUNO 社と私たちをスムーズにつないでくださりました。最後に、本書執筆の 間、激励し続けてくれた妻の夏来と子どもたち、拓実と聡実に感謝します。
2021 年 5 月 著者を代表して 小西 功記
共著者
異分野の専門家の共同プロジェクトです
清水 祐一郎
ITコンサルタント - NTTデータ経営研究所
所属:株式会社NTTデータ経営研究所情報未来イノベーション本部先端技術戦略ユニット(シニアコンサルタント)
1990年大阪府高槻市生まれ。
2015年東京大学総合文化広域科学専攻を修了。認知脳科学の研究に従事。2015~19年、PHC株式会社にて、R&Dと事業開発に従事。AIの研究開発とヘルスケアIT領域の事業開発を経験。
2019年10月より現職。現職では、民間企業と官公庁を相手に先端技術の戦略コンサルティングに従事。AIとロボットの社会実装、脳科学の社会実装、ヘルスケア
IT戦略策定など多くのプロジェクトに参画している。LinkedIn
小西 功記
AI研究者 - (株)ニコン
株式会社ニコン研究開発本部数理技術研究所 1982年和歌山県生まれ。2011年東京大学物理学専攻を修了。博士(理 学)。
大学在学中、米ローレンス・バークレー国立研究所にて観測的宇宙論の研究に従事。2011年、より高度な解析技術と精密光学技術から新たな未来を生み出せるのではとの思いから、株式会社ニコンに入社。
4年ほど半導体露光装置の開発に携わり、2015年より機械学習などを用いた画像処理技術の研究開発に従事。機械学習技術を用いた医学生物学の研究効率化を目指し、コンピュータビジョン技術を駆使した顕微画像処理技術を開発している。特許および国内外での学会発表多数。
河野 健一
医師・医療AI起業家 - (株)iMed Technologies CEO
株式会社iMed Technologies代表取締役
CEO医師(脳神経外科専門医、脳血管内治療指導医、脳卒中専門医)、MBA(グロービス経営大学院)。東京大学理学部数学科卒、京都大学医学部卒。脳神経外科医師として医療現場で16年間勤務。現場で脳血管内手術の課題を感じ、「世界に安全な手術を届ける 」と い う 理 念 を 掲 げ 、2019年に株式会社iMed Technologiesを設立し起業。くも膜下出血や脳梗塞に対する脳血管内治療のリアルタイム手術支援AIを開発中。
石井 大輔
AI起業家 - (株)キアラ CEO
京都大学総合人間学部では数学(線形代数)とフランス史をダブル専攻。伊藤忠商事ではミラノとロンドンに駐在。AI・機械学習に特化した研究会コミュニティTeam AIを立ち上げ。FinTech、医療などデータ分析ハッカソンやAI論文輪読会を毎週渋谷で開催。700回のイベント通じ会員8,000人を形成。
2019年、100ヶ国語同時翻訳ChatbotアプリKiaraを海外向けにローンチ。
ぜひ感想をお寄せください
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